教育は工業モデルから農業モデルへ

こんにちは。こたえのない学校の藤原さとです。

今までに43万回というTED Talk史上最多の再生回数を誇る「Do Schools Kill Creativity?~学校教育は創造性を殺してしまっている?」のスピーカーのケン・ロビンソン。

最近EdSurgeで、“Kids Don’t Fail, Schools Fail Kids: Sir Ken Robinson on the ‘Learning Revolution’”という記事が出ていましたので、本日は彼について書こうと思います。

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写真:TED Talks より

ケン・ロビンソンは、英国ウオーリック大学で、芸術教育の分野で12年間教授を勤め、現在は同大学の名誉教授兼、教育アドバイザーをしています。彼の“Finding Your Element ~How to Discover your Talents and Passions and Transform Your Life”は世界中でベストセラーになりました。 

Do Schools Kill Creativity?~学校教育は創造性を殺してしまっている?(動画は以下)

ここでの彼のメッセージは、非常にクリアで、彼は人の才能(human resources)は天然資源(natural resources)と同じで、探さないと見つからないし、表層に転がっているものでもないといいます。才能が現れる状況を作り出すことが教育の役割あり、それぞれの個性に合わせた教育(Personalized Education)が必要だと熱く語りました。

彼は、今の学校教育の在り方は、19世紀の産業界の要請によるものであり、“産業界にとって「都合の良い」人材を低コストで生産できるシステム“であり、もしこうしたこういう教科の考え方や、学校の目的が学校の成績だけを“知性”とみなしているのであれば、学校は他の眠っているクリエイティビティを潰してしまっている場に他ならないと批判します。

<エレメントを見つける>

彼は人生において、自分の「エレメント」を見つけることが何より重要だと言っています。「エレメント」とは、「自分の才能と情熱が出会う場所」を意味し、それは、「自分にとって、それをするのが自然に感じられること」だといいます。

孔子の言葉に「自分の愛する仕事を選びなさい、そうすれば人生で一日も働かずに済む」というものがあるそうですが、現代社会において、非常に多くの人が人生の目的を持っておらず、そうすることで本人ばかりでなく、何よりも社会がその代償を支払っていると彼はいいます。

“Finding Your Element”の中で、エレメント探しは個人的な「探求の旅」である(中略)探求には冒険や危険がつきもので、結果も不確実である。また、エレメント探しは、二方向への旅である。「あなたの中にあるものを探る内なる旅」と「外の世界での機会を探す外界での旅」。誰もが二つの世界に住んでいる。(中略)人は内なる世界を通してしか、外の世界を知ることはできない。という記述がありました。

本来教育というものはそれらの「旅」をサポートしたり、後押ししたりするべきものなのに、逆にエレメント探しを否定したり、外での機会は要求された唯一の道のようにみせたりすることで、子どもたちのエレメント探しの感性をどんどん鈍らせていくのです。

<教育は工業モデルから農業モデルへ>

人の才能はそれぞれ違うし、情熱をもつところもその強さもそれぞれ違います。

彼のスピーチの中で、非常に共感したのが、「教育は工業モデルから農業モデルへ」という言葉でした。

早くぐいぐい育つ子もいれば、ゆっくりさんもいる。栄養も水もたっぷり必要な子がいれば、厳しい環境でも生きていける子もいる。豆も、ホウレンソウも、イチゴもみんな子どもで、それぞれがそれぞれの役割を持っている・・と考えるとなんだかワクワクしてきます。

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先生も、基本的な農業技術にあたる教育の技術は当然にして必要ですが、先生だって、豆であり、ホウレンソウであり、イチゴであるところがポイントかもしれません。神様が教育するわけではないから、完璧でなかったり失敗することもあります。そんなことも許容しながら、いろいろな子どもたちが、その多様性を認め、育ち方も、味もバラバラながらお互いを認め合い、将来を支えていくような社会になると素敵だな、と思うのでした。

<Technologyと教育の未来>

なお、EdSurgeの記事でケンロビンソンが推奨する農業モデルの(Personalizationを実現している)学校が二つ紹介されていました。

MindDrive

 

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写真:Minddrive HP

 

カンザスにある、成績が厳しい高校生が通うSTEAM (Science, Technology, Engineering, Art and Mathmatic:理数工学美術に特化したプログラム) 中心のアフタースクールです。子どもたちは、コミュニティと一緒に自動車のデザインやデジタルアートをテーマにしたプロジェクト型の学びの場を実施します。

Orchard Gardens

マサチューセッツ州にあるもともと最低レベルの評価を受けていた学校が、最高標準のカリキュラムと芸術教育、プログラミング学習への集中により大きな変化を遂げています。

社会の中で生きている私たち、そして、未来の社会に生きていく子供たちにとって、コミュニティの中で育ったり、テクノロジーに触れ、大きくかかわっていくことは、ケン・ロビンソンの目にも自然に映っているようです。「農業モデル」をテクノロジーが支えるのです。

すべての子が「エレメント」を見つけ、最上の人生を歩めますように。そんな願いをこの記事は伝えてくれているような気がします。

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身近なEdTech 「ロボット先生とこっそり英語の発音特訓」

こんにちは。EdTechWomanTokyoメンバーの識名由佳です。

教育 × テクノロジーで世界の教育はガラッと変わる!と言われ続けて久しいですが、その変化を身近に感じる機会はあまり多くはないのではないでしょうか。

今回は、どなたでもすぐに試せて、「1対1の家庭教師よりも、コスト面はもちろん質の面で優れているな」と感じたEdTech事例をご紹介したいと思います。

地味ながら、今後の可能性を感じさせる無料のスマホアプリ「発音博士」です。

英語の発音にコンプレックスのある日本人はとても多いですよね。英語バージョンのSiriやAlexaに反応してもらえず傷ついたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

私もその一人で、飛行機で「water」や「coffee」など簡単な単語すら聞き取ってもらえず、ますます英語コンプレックスを拗らせてきた自負があります。

発音博士アプリでは、そんな内気な方でも一人でこっそり練習することができます

私の強い日本語訛りの英語が徐々に上達していく様子を動画に収めました(約1分20秒)

動画をみる時間のない方のために簡単に説明いたします。

 

1 練習したい単語を選ぶ

2 お手本の発音を聞く

3 実際に発音してみる

4 自分の発音がどう聞こえているのか、発音記号で表示される

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5 自分の発音記号を見ながら、お手本と自分の違いを聴き比べる

6 再度チャレンジ

 

このステップを100点が取れるまで繰り返します。

このステップのうち、人間の先生が勝てないと感じたのは

「4 自分の発音がどう聞こえているのか、発音記号で表示される」と

「5 自分の発音記号を見ながら、お手本と自分の違いを聴き比べる」ことです。

 

ネイティブの発音に憧れて、1対1のレッスンに通ったこともありますが、

・自分の発音のどこがどう違うのか細かくはわからない

・何回も繰り返し、たまたまGoodをもらえた時も、なぜGoodになったのかわからず再現性が低い。

・次の日には正しい発音を忘れてしまう上に、忘れているのかどうかを確かめることもできない。

・上達実感がわかない。

という状況から、頓挫してしまいました。

 

この「詳細」かつ「即時」のフィードバックは機械ならでは、ではないでしょうか。私は、自分にどういう癖があるのか、このアプリで初めて知ることができました。

英語で大切なのは個々の単語の発音よりも、イントネーションやアクセントだそうです。このアプリでは単語の練習しかできませんが、そのうち誰かが文章全体を訓練できるサービスを開発してくれるのではないかと期待しています。

英語に限らず、他の様々な教科での応用も期待できます。

集団授業よりも家庭教師を選ぶメリットの一つは、生徒個別の誤答分析をその場でしてもらえることです。

「どこをどのようになぜ(where/how/why)間違えているのか」を即時フィードバック

つまづきポイントに応じた解説や演習を提供できる

 

英語博士アプリは①の点で人間より優れていると言えます。

今後、多くの人の誤答を集めて分析を行えば、②で人間を超えることも難しくないでしょう。

 

ただし、このアプリ、初めはゲーム感覚でとても楽しいのですが、一人でコツコツクリアする必要があり、途中で飽きてしまいました。スケジューラーに予定を入れ、Siriにリマインドしてもらうことも試しましたが、私の場合、AIアシスタントに怒られても特に何も感じません。

ゲーミフィケーションなのか、クラスメイトからのピアプレッシャーなのか、励ましてくれるコーチの存在なのか、学習のモチベーションや継続のためには、また別の仕組みが必要そうです。

「やる気スイッチ」が入るような商品が出てきてくれないかな〜。例えば、脳に電流を流し集中力をあげるバイオエレクトロニックセラピーと言われるこんなサービスなども出ているようです。

 

それでは、また次回!